― 檀信徒から僧侶まで ―



真言宗では、百八珠を正式の念珠としています。もちろん、この数は基本数であって、実際には珠の総数は大小合わせて百三十九個あります。ただし、経典には一母珠、十記子の念珠しか説いていませんので、そのような総数にはなりません。なお、半連の念珠は九十個になっています。それはさておき、まず百八珠を二分している大珠(だいしゅ)が二つあります。この珠を「母珠(もしゅ)」(親珠(おやだま))と言います。そこで百八珠を「子珠(ししゅ)」(こだま)とも呼びます。母珠は法門の主である阿弥陀如来(つまり仏果)、子珠は先に説明したように、百八煩悩あるいは百八智や金剛界百八尊を表わしています。したがって、念珠を繰ることは、金剛界百八尊に帰依(きえ)し同体となり、百八智に目覚め、百八煩悩の滅除を念(ねん)誦(じゅ)することを意味しています。 母珠はまた達磨(だるま・たらま)ともいい、梵語 dharma つまり法を意味します。一般には、両母珠(達磨)のうち、子珠の糸である貫線(かんせん)または縄線(観音菩薩の大慈悲を表わしています)の終わる方をとくに「緒留(おどめ)」と呼び、そうでない方のみを「達磨」と呼んでいます。(以下の文で、達磨はこの母珠を意味しています。) 子珠の百八珠は母珠でそれぞれ五十四珠に二分されています。各五十四珠は、菩薩の五十四位の修行の段階を表わしています。したがって、念珠を繰(く)ることは、大慈大悲の五十四位の菩薩行を念ずる行為であるわけです。なお、念珠を繰るときは緒留を越えて一周するのではなく、緒留まで繰ると再び同じ五十四珠を繰って達磨に戻ります。 次に、達磨から数えて左右それぞれの七珠と二十一珠の次に小珠(計四個)があります。これは真言を七遍あるいは二十一遍お唱えする際に便利なようにつけたものです。四個あるこの小珠を「四点」または「四天」(四天王)と呼んでいますが、もちろん経典には記載がありません。 両母珠に房がつけられています。この房は二本の緒(お)からなっており、各緒に五個の小珠がついていますので、各房にそれぞれ十個の小珠があります。これは百や千の位取りの珠で、「記子(きし)」と呼んでいます。十は十波羅蜜(じゅっぱらみつ)>あるいは十大弟子を表わしています。そこから「弟子珠(でしだま)」とも言います。 この記子の末端に露の滴(したた)るような形の珠があります。この珠は「記子留(きしどめ)」と言いますが、この形から「露(つゆ)」とも呼んでいます。この記子留にも意味があって、諸説ありますが、例えば菩提(ぼだい)・涅槃(ねはん)や福・智の意味を表わしていると言われています。 また、記子と達磨の間に小さい珠が一つ付いています。これを「補処(ふしょ)の菩薩」《浄明(じょうみょう)とも呼んでいます》と言います。補処とは仏の後継者を意味します。したがって、阿弥陀如来の後継者は観音菩薩ですので、この小さな珠は観音菩薩を表わしています。 ところで、経典を読誦したり、真言をお唱えした後に、念珠を摺(す)って祈願(きがん)することが一般に行われています。しかし、本当を言えば、念珠は摺り鳴らすものではありません。激しく摺り鳴らすことは上品なやり方とは言えません。 また、念珠を手に持ったり、手首に掛けたりするときは、必ず左手です。そして、高野山では達磨(親珠)すなわち補処(浄明)の付いている方を右手の中指に、緒留(おどめ)を左手の頭指に掛け、房を両手の掌中に入れて持念します。房を手の外に垂らしません。しかし、念珠の持ち方や持念の仕方は、宗派によって異なりますので、各宗の住職さんに聞いて下さい。 子珠の形は、丸珠と平(ひら)珠があります。高野山ではこの二種を使いますが、京都の真言寺院では平珠は用いません。



″数珠の玉の数をご存じですか? ″



真言宗では108顆のものが正式なものです。でも、総合計すると139玉あります。(写真)
108主玉+2親玉+4四天+20弟子玉+4露+1浄明 =139玉となります。
すなわち主玉が片方に54玉づつ、両方で108玉です。それに達磨から始まって、7個めと次に
14個めに小さい玉が4個入っています。四天と云います。お経や真言を唱えたりするとき、七反
とか二十一反とかの数を取るための目印です。
房の部分には弟子玉と露がそれぞれ振り分けられて、達磨の方には浄明一つがあり合計で25玉です。



″念珠の持ち方 ″


念珠の持ち方は、右手の中指と左手の頭指に



片手のみで持つ場合

略式片手の場合



″念珠の置き方 ″

普段は左手に持つのが大原則ですが、置いておく場合は
三双にして浄明(じょうみょう)の付いている達磨を上にして
本尊の方へ向けて置くのが習わしです。
【参考写真】天竺菩提珠 尺二寸
貫線(中糸)▽主に装束(水晶)の念珠には赤糸を用いるのが
本義ですが、他にも多用します。胎蔵マンダラの蓮華部
観音院の表示たるで観音を意味します。



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